映画『悪い夏』

「日本って、今、本当にこんな感じなんだろうなあ」。
確かにクズとワルばかり出る映画だが、「アポ電強盗」「闇バイト」等々、昔では「ヤクザ」以外には考えられなかった行いが、一般社会に生きる人間にも侵食してしまっている。
フィクションでありながら、実際に身の回りで起きているのではないかという恐怖を感じる映画だ。

<ストーリー>
市役所の生活福祉課に勤める佐々木守は、同僚の宮田から「職場の先輩・高野が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」との相談を受ける。
面倒に思いながらも断りきれず真相究明を手伝うことになった佐々木は、その当事者である育児放棄寸前のシングルマザー・愛美のもとを訪ねる。
高野との関係を否定する愛美だったが、実は彼女は裏社会の住人・金本とその愛人の莉華、手下の山田とともに、ある犯罪計画に手を染めようとしていた。
そうとは知らず、愛美にひかれてしまう佐々木。生活に困窮し万引きを繰り返す佳澄らも巻き込み、佐々木にとって悪夢のようなひと夏が始まる。

また河合優実だ。しかもまた、不遇な役柄。
芝居は上手だし、ものすごく合っているとは思うけど…。
そろそろ食傷気味かもしれん。
そう思ってる人も多いと思うので、事務所も考えた方がいいだろう。

そう考えると、北村匠海は、実に多彩な役柄に挑戦できていると思う。
同じ若手の売れっ子俳優である山崎賢人は、漫画原作のシリーズものばかりで、演じている役柄に深みを感じないものが多い。
しかし、北村は「いいキャスティング」がなされているのではないだろうか。
この「闇堕ち」する公務員も、狂ってゆく感じがすごくいいし、もちろん『東京リベンジャーズ』のような漫画のシリーズ作品にも出ている。
NHK朝ドラ『あんぱん』も決まっており、まさに順風満帆と言ったところではないだろうか。

もちろん、窪田正孝も木南晴夏も良かった。若手だと、伊藤万里華も順調にキャリアを積んでいるように思う。
でも一番は、竹原ピストルのキャスティング、これが秀逸だった。
本当は、こういうスケベでダメな親父っぽいもんなあ…。

エンディングは、観客の想像に委ねるような終わり方だったが、まあ、ハッピーエンドと言っていいのではないだろうか。
公開規模はそれほど大きくないかもしれないが、なんにしろ面白い映画だった。