映画『この夏の星を見る』を観た

いやあ、泣きました。
2020年、色んな意味で「そうだったなあ」という想いと同時に、あの時を生きた高校生って「辛かったんだなあ…」と改めて思い知らされた。

<ストーリー>
2020年、コロナ禍で青春期を奪われた高校生たち。
茨城の亜紗は、失われた夏を取り戻すため、〈スターキャッチコンテスト〉開催を決意する。
東京では孤独な中学生・真宙が、同級生の天音に巻き込まれその大会に関わることに。
長崎・五島では実家の観光業に苦悩する円華が、新たな出会いを通じて空を見上げる。
手作り望遠鏡で星を探す全国の学生たちが、オンライン上で画面越しに繋がり、
夜空に交差した彼らの思いは、奇跡の光景をキャッチする――。

映画の予告編では〈スターキャッチコンテスト〉のシーンが使われていた。
何組もの高校生が、天体望遠鏡を一斉に回転させて、星をキャッチするシーンだ。
まるで、高いシンクロ率を誇るパフォーマンスグループがダンスを踊るように…。
私は、このシーンだけで心を奪われた。
公開したら、すぐ「観たい!」、そう思っていた。

冒頭でも書いたが、おじさん不覚にも何度も泣いてしまった。
コロナのあの時期、もちろん大人も大変だったが、子供たちは二度と来ることがない貴重な学生時代を「ステイホーム」することを強いられた。
運動部出身の私は、チームとして活動できない運動部員達の不憫は想像できた。
しかし考えてみれば、文化部の子たちも活動できないことは同じだし、「会わない」ことが正義だったあの時、友と共に何も出来ずに、ただ卒業に向かってゆくことがどんなに苦痛だっただろうか。

この物語のテーマにあるのは、若者たちの友情である。
そして、ちょっとだけ恋の話も。
若い役者たちも、主演の桜田ひよりと、黒川想矢(『国宝』吉沢亮の少年時代役)以外はほとんど知らなかったと思うし、正直、マスクを着け演じているシーンも多かったから、知っていてもわからなかったのかもしれない。
でも、それが逆に良かった。本当に皆、瑞々しかった。
桜田ひより演じる渓本亜紗の親友役水沢林太郎、もうすでに22歳のようだが、身長も高いし、繊細な心情を演じる高校生役がすごくハマっててよかった。
まさに青春がスクリーンからはじけていた。

コロナとは何だったのか?改めて考える意味でも、大人にもぜひ観に行ってもらいたい作品である。