『新聞記者』

本年度日本アカデミー賞最優秀監督賞受賞 藤井道人監督作品である。
私は『正体』はもちろん、『青春18×2 君へと続く道』も好きな作品だし、このブログの中でも称賛させていただいた。
しかし、この『新聞記者』は正直観ていなかった。5年前に日本アカデミー賞作品賞を獲得しているにも関わらずだ。
(まあ、要は、原案の作者が好きではないので…)

<ストーリー>
東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。
日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。
一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。
「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。
愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。
真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。
二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!現在進行形のさまざまな問題をダイレクトに射抜く、これまでの日本映画にない新たな社会派エンタテインメント!

面白い作品だった。
主演の二人の演技がいいし、藤井監督の画作りもいい。(悔しいが)スジも、ヌケも、役者もいいのだ。
藤井監督、この頃30代の前半なのだから素晴らしい。
『金融腐食列島【呪縛】』『クライマーズ・ハイ』など硬派な社会派の傑作を撮っている、原田眞人監督に通じるところのある作風である。

私は正直言えば、日本の官僚も新聞記者も好きではない。
しかしそれは、「塊」として見ると嫌いなだけであって、良心のある人間的な人もいるのだろう。
それがいつしか、組織の中で人として変わってゆく瞬間を目の当たりにするこの作品は、日本社会の構造的な問題を浮き彫りにしている。
それを30代にして描き切った藤井監督は、繰り返しになるが素晴らしい。

松坂桃李といい、横浜流星といい、藤井監督と組むことで、いい役者になったのではないだろうか。
やはり、役者のスキルアップには、良い監督と組むことが重要であると改めて感じた作品である。

P.S. とはいえ、『あんのこと』『新聞記者』と重めの作品を観ると疲れる…。
次は、劇場で“能天気”なのを観よう!