祝アカデミー賞『ANORA アノーラ』

第97回アカデミー賞が開催され、『ANORA アノーラ』が作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門を獲得した。
早速私も観てきたが、一言で言って「面白かった」。

<ストーリー>
NYでストリップダンサーをしながら暮らす“アニー”ことアノーラは、職場のクラブでロシア人の御曹司、イヴァンと出会う。
彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5千ドルで“契約彼女”になったアニー。パーティーにショッピング、贅沢三昧の日々を過ごした二人は休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚!
幸せ絶頂の二人だったが、息子が娼婦と結婚したと噂を聞いたロシアの両親は猛反対。結婚を阻止すべく、屈強な男たちを息子の邸宅へと送り込む。
ほどなくして、イヴァンの両親がロシアから到着。空から舞い降りてきた厳しい現実を前に、アニーの物語の第二章が幕を開ける     

ざっくり言うと<第一部:出会い。そして結婚><第二部:逃亡した結婚相手の男を捜索><第三部:ロシアから男性の両親到着。二人の別れ、そして…>と言うことになる。
正直、<第一部>はエロいシーン満載だし、アンダーグラウンドな香りのする展開なので、もしかしたら「エロティック・サスペンス」みたいな映画なのか?と思って観ていた。

しかし<第二部>が始まると、雰囲気は一変する。
ロシアの大者富豪である両親がアメリカにやってくるのを知り逃亡するイヴァン。
そのイヴァンを間抜けにも取り逃す両親の手下たち。

そこからアノーラと、この男たちによるイヴァン捜索劇が始まるのだが、これが面白い。
言わば、タランティーノ張りの英語とロシア語による粗野で乱暴で下品な台詞のオンパレード。
それがユーモラスで、最高に痛快だ。
アノーラの口の悪さ、凶暴さ、そして頭の回転の良さ。
それに翻弄されまくる、強面だが間抜けで憎めないロシア人の手下たち。
つまりこの映画の真髄は、この<第二部>から始まるのだ。<第一部>が「エロすぎる…」と、途中で席を立たないでほしい。

あんまり詳しく書くと、ネタバレになってしまうので詳述はしないが、<第三部>の頃には、第一級のヒューマンドラマとなっている。
アノーラの可愛さ、だからこその彼女のせつなさが、グッと胸につき刺さるのだ。

主演のマイキー・マディソン、監督のショーン・ベイカー。
要注目の両者。次回作も必ずチェックしたい。