映画『十一人の賊軍』
監督の白石和彌氏とは、彼が助監督の時代に何本かご一緒している。
そんなわけで、まあ、あんまり嫌なことは書かないが(笑)。
面白かったとは思う。
ただ…、これは私だけではないと思うが…。
よく聞き取れないセリフが多かったのだ。
<あらすじ>
1868年、鳥羽・伏見の戦いをきっかけに、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍と、旧幕府軍による戊辰戦争が勃発する。
そんな中、新政府に対抗するため、奥羽越列藩同盟が結成。その同盟にやむなく加わった新潟の小国・新発田(しばた)藩は、官軍の進撃を食い止める起死回生の一手として、藩に捕らえられていた死罪になるべき11人の罪人たちを、決死隊として砦を守る任に就かせる。
そういうわけで、新潟が舞台ということもあり、方言が多いこともあるのかもしれない。
それに、ストーリー自体は難しい話でもないし、多少聞き取れなくても話について行けないということはない。
しかしこれは、ダビングとか録音、MIXの問題なのかもしれないが、特にアクションシーンで何を言っているのかわからない部分が結構多かったのだ。
爆発音など、大きな音が多かったこともあるのかもしれないが、もう少しセリフが聞き取れる仕上がりにしてほしかった。
それと、これは監督の「売り」でもあるのだと思うが…。
不必要と思われる、バイオレンスシーン(例えば、指が切れる描写など)が多かったように思う。
PG12自体は、たいした制約でもないかもしれないが、それにしろ、むやみにグロい表現が多かったように感じた。
とはいえ、役者は良かった。
山田孝之、仲野太賀、阿部サダヲ、みんな良かった。
特に、元モーニング娘。の鞘師里保がすごくよかった。
アイドル出身の若手女優というと、川栄李奈や西野七瀬らが活躍しているが、彼女たちはやはり「汚れ役」(というか、汚い格好の役)はあまりやらないように思う。
しかし、鞘師が演じた「なつ」という火付けの罪を犯した娘の役は、言うなれば、江戸時代の「あばずれ」みたいな役どころだ。
そんな「あばずれ」感が実にうまかった。和服の着崩し方といい、立ち振る舞いといい、元アイドルとは思えない演技であった。
彼女は純粋に、今後役者として活躍してくれるのではないだろうか。
まあ色々書いたが、時代劇は面白いし、今後も白石監督には撮り続けてほしい。
たぶん、今、役者が一番出たいと思っている若手映画監督だろうし、そういう意味では金のかかる時代劇が、今後も製作され続けるには、白石監督のような人に頑張ってもらわないと。
心から、そう思う。