映画『ルックバック』。ヒットしているとは知りながら、そもそもアニメをそんなに観ないのに加え、なんせ一時間程度の尺なのに、鑑賞料金が高く（一律1700円）各サービスデーの割引も通用しないので、なんとなく観るのを逡巡していた。
しかし、この程Amazon Primeで無料放送されることになったので、早速鑑賞した。

＜ストーリー＞
学年新聞で４コマ漫画を連載している小学４年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の４コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。
以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。
しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。

私は、そういうわけでアニメに詳しいわけではないので、この作品のアニメーションとしてのクオリティ云々は置いておく。
しかしこの画のトーンが、この青春ストーリーに瑞々しさを与えていることはよくわかる。
また、音楽が素晴らしい。ピアノ一本のBGMが多いのだが、それがまたこのアニメにマッチしており、田舎の女の子二人のアオハル感をうまく演出している。
そして主役の声優は、藤野役として、今飛ぶ鳥を落とす勢いで出まくっている女優の河合優実が演じている。
これがまた、この生意気だけどナイーブな女の子をうまく演じており、本当にこのアニメの瑞々しさ（オジサンにはこの形容詞が一番しっくり来たので、二回使わせてもらう）をうまく引き立てているのだ。

原作を知らないので、ああいう展開（ネタバレになるので細かくは書かない）になることを知らなくて、ちょっと悲しかったが…。でも、藤野が漫画家として成功してゆくのは、ある種ハッピーエンドなので良かった。

一時間程度の作品であるし、映画館でやるのも製作側として冒険だったと思うが、その価値は十分にあったと思う（サブスクで観てすいません…）。
いい映画なのでお奨めである。