『侍タイムスリッパー』やっと観た!
第2の『カメラを止めるな!』と呼ばれている作品で、単館に近いインディーズ映画が口コミで評判を呼び、(配給にギャガが入り)一気に拡がっていった作品だ。
違いと言えば…。『カメラを止めるな!』は、養成スクールENBUゼミナールのプロジェクトであり、監督も長編初作品で、役者も素人中心だった。
しかし、『侍タイムスリッパー』は、監督も劇場用映画三作品目だし、役者も山口馬木也、冨家ノリマサなどのプロが演じ、東映京都撮影所が全面協力するなど、一目見ただけでもルックの部分でのクオリティが大きく違う。
とはいえ、『侍タイムスリッパー』も監督の安田氏が私財を投じ、演出だけでなく、撮影も行うなど、かなりの手弁当作品であることは間違いない。(手弁当を「良し」とする風潮は全然正しくないが、まあ、少なくとも日々の生活に困っていないようなプロの役者が、意気に感じて協力するのは全然悪いことではないと思う)
それで、両者の比較という意味では…。
私は脚本面で、圧倒的に『カメラを止めるな!』の方が好きである。
というのは、『カメラを止めるな!』は筋や構成含め、斬新さがあった。
『侍タイムスリッパー』も、もちろん面白い作品ではあるが、タイムスリップものとしての斬新さは特にないし、どちらかと言うと、プロの役者を使って東映撮影所が協力したことにより、殺陣などの画に迫力とリアリティが生まれたことと、監督の熱意や(「低予算なのに…」という)パブリシティが、いい意味での相乗効果を生んだ結果なのではないかと感じた。
とはいえ、この安田監督の力量と熱意には頭が下がるし、皆さんにも是非観ていただきたい作品であることは間違いない。
次は、この作品とは両極にあるともいえる、三谷幸喜作品『スオミの話をしよう』について書くことにする。