ミュージカル映画って…

海外にはミュージカル映画が多数あるし、本当に面白い。
アメリカやヨーロッパだけでなく、インド映画なんかも結構面白い。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』もすごく面白かった。
ティム・バートンの『チャーリーとチョコレート工場』も好きだったし、期待して観に行ったのだが、期待通りだったと言えると思う。
歌唱シーンのファンタジックな演出、それでいてドラマとしての母と子の話がしっかり軸にはあり、コメディとしても十分に面白かった。(特にヒュー・グラントのウンパルンパは最高)

ところで、近年日本で成功したミュージカル映画って、何かあるだろうか?
正直、ほとんど思いつかない。
舞台のミュージカルは市民権を得ている感じはあるのに、映画ではあまり製作さえされていないように思う。
三池監督の『愛と誠』や周防監督の『舞妓はレディ』をそこにカテゴライズする人もいるようだが、私にはコメディ演出の一つのやり方としてのミュージカル表現という感じにしか見えない。

近年の洋画で言うと、私は、映画版『レ・ミゼラブル』やバズ・ラーマン『ムーランルージュ』が好きだ。
特に『ムーランルージュ』などを観ると思うのだが、映画におけるミュージカルは、ファンタジー映画の一ジャンルなのかもしれない、と。
突然歌いだしたり、踊りだしたりする表現は、まあ、リアリティなどない訳だし、変に現実を描こうとすれば辻褄など合わなくなるのは当然だ。
つまり、そこに必要とされるのは、圧倒的に音楽的で幻想的な演出力なのだと思う。

なぜ、日本にミュージカル映画文化がないのか?
その答えは、おそらく、ティム・バートンのようなファンタジー映画というジャンルを極めた日本人監督がいないからだし、アラン・メンケンのような映画音楽家がいないからだろう。
バズ・ラーマンのファンタジックな世界観を作れる日本人など思い当たらないし、ミュージカル演出をやりこなす程の音楽的素養のある映画監督も思い当たらない。
そういう意味では製作しようにも、出来る監督や音楽家、つまりタレントがいないのかもしれない。
(岩井俊二監督だとファンタジー要素が??だし、MVディレクターなどでは「点」でファンタジーは作れても、映画として「線」にならない)

森山未來や生田絵梨花もそうだが、映画でも主演を張れるミュージカル俳優はいると思うし、若い人で、この分野の監督を目指せば、先駆者になれるような気もするのだが…。
どうだろうか?