『誰よりもつよく抱きしめて』

先日『室町無頼』が劇場公開からわずか三か月で、Amazon Primeで配信され始めた旨のブログを書いたが、この作品も2025年2月公開の作品である。
新堂冬樹の同名小説を、『ミッドナイトスワン』の内田英治監督、三山凌輝(俳優名での表記はこれで、BE:FIRSTの場合はRYOKI表記らしい)、久保史緒里(こちらは乃木坂46の時もこれ)主演で製作された作品である。
舞台が地元鎌倉ということもあり、「あ、ここだ」みたいなシーンも多く楽しめた。
また、アマプラでこれを観た時は、ちょうど三山凌輝も世間をざわつかせていた…。
その分多少バイアスがかかってしまったが、それでも面白い、いい作品だと思った。
<ストーリー>
鎌倉の海沿いの街で同棲する、絵本作家の水島良城(三山凌輝)と書店員の桐本月菜(久保史緒里)。
学生時代から付き合ってきた二人は、お互いのことを大事に思い合っているが、良城は強迫性障害による潔癖症を患い、恋人の月菜にも触れることができず、手をつなぐことすらできない日常が続いている。
ようやく治療を決意した良城は、合同カウンセリングで初めて同じ症状を抱える女性・村山千春に出会う。
思いを共有できる相手に出会えたことを喜び、千春との距離を縮めていく。
仲睦まじく思いを共有する二人の交流を目の当たりにし、月菜はショックを受けてしまう。
二人の溝がどんどん深くなっていくなか、月菜の前に、恋人と触れ合っても心が動かない男・イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が現れる。
愛する人と触れ合うことがままならない者たちがすれ違い、ぶつかり合い、関係が交錯していく―。
三山(良城 役)も良かったが、久保史緒里(月菜 役)はやっぱり芸達者だと思った。
顔が“幸薄そう(ごめん!)“な感じが、この作品にはまたちょうどいい。
全然、この月菜という女の子自身悪くないのに、彼氏は社会に出てから強迫性障害になり、強引な韓国人イケメン ジェホンに振り回されて、彼氏とも別れることになってしまう。
そういう不幸な役どころは、“薄幸美人“久保史緒里の面目躍如といったところだろう。
(まあ、最終的にハッピーエンドでよかったが)
個人的には、先天的な障害を背負った人を題材にする作品はあまり好みではないが、良城の強迫性障害による潔癖症は、まさに現代病であり、現代ストレス社会が生み出した病気ともいえる。
その意味でこの作品は、現代日本を象徴した姿であり、そしてやがてそれを克服しハッピーエンドで終わる形は、映画的(エンターテインメント的)であり、私はいい作品だと思った。
ちょっと、明るい、ユーモラスなシーンが(キャラクター含めて)少ないため、息が詰まってしまうのが、脚本、演出的には気になるが…。
あとがき…。
乃木坂OGが多数役者として活躍しているが、現役メンバーである、この久保史緒里と、今度大河ドラマで「茶々」を演じる井上和は、芝居「勘の良さ」という点で、OGを凌ぐ役者になるのではないか、そんな風に感じる。
ただまあ、役者はヒット作に出れれば、河合優実にもなれるが、そういう作品に恵まれなければ、残念ながら旬の時期を逸してしまう。
だからマネジメントの力はもちろんのこと、本人の脚本を読める能力、そして自己プロデュース能力が必須なのは言うまでもない。
※今週は、劇場に新作を観に行く予定ではあるが、アマプラに永野芽郁と田中圭の『そして、バトンは渡された』が上がっていた。
怖いもの見たさ(?)もあるので、近々観たい…。