『法廷遊戯』を観て思ったこと(雑感)

第62回メフィスト賞を受賞した作家・弁護士の五十嵐律人による法廷ミステリー小説を、アイドルグループ「King & Prince」の永瀬廉主演で映画化した作品。

<ストーリー>
弁護士を目指してロースクールに通うセイギこと久我清義(きよよし)と、同じ学校で法律を学ぶ幼なじみの織本美鈴、2人の同級生でロースクールの学生たちが行う「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判を司る天才・結城馨は、共に勉強漬けの毎日を送っていた。
無事に司法試験に合格し、弁護士となった清義のもとに、ある時、馨から無辜ゲームをやろうという誘いがくる。
しかし、呼び出された場所へ行くとそこには血の付いたナイフをもった美鈴と、すでに息絶えた馨の姿があった。
この事件をきっかけに、3人をめぐる過去と真実が浮かびあがっていき、事態は二転三転していく。

いやあ、さすがです、杉咲花!本当にすごい!!
ああいうrusticな顔だから「イっちゃった」時の演技が、よりすごく、より狂気を孕む。
もちろん、永瀬廉も北村匠海もいいのだが、杉咲花演じる美鈴のミステリアスなキャラクターに完全に食われている。
映画的なダイナミズムみたいな要素は少ないが、それでも法廷劇としての面白さもあるし、十分楽しめた。

全然話変わるが、この映画にも出ている筒井道隆が、何かのテレビ番組で「キムタクも脇役を演ればよいのに」みたいなことを言っていた。
『あすなろ白書』などでの共演経験もあり、同年代(筒井道隆:1971年生まれの54歳/木村拓哉:1972年生まれの52歳)の「役者気質」の男としての意見なのだろう。

確かに筒井道隆は、昔は好青年のイメージしかなかったが、ここのところはヒールな脇役でもいい味出している。
だから、キムタクも「二枚目の主役」にこだわらず、色々演れば、演技の幅も広がると思ったのだろう。

でも、「無理だろうな、それは」。
中島健人なんかを見てても思うが、(旧ジャニーズの)トップアイドルは、たとえ悪役は出来ても、本当の意味での汚れ役や脇役は出来ないんだと思う。
キムタクが、ウォン・カーウァイ監督の『2046』に主役ではなく出演した時、海外の映画祭での扱いの低さに、マネージャーが大騒ぎした話を聞いたことがあるが、周囲も含め、もはやキムタクの看板を下げることは無理なのだろう。
まあそれに、いい意味でも悪い意味でも、キムタクは「役者気質」ではないだろうし。

全然話逸れてしまったが、実は若い女優でも杉咲花みたいな、主役も汚れ役の脇役もこなせる役者はなかなかいない。
まあ、そういう話がしたかった、ただそれだけの話。