『トラペジウム』は、アニメでよかった

トラペジウム

乃木坂にいる頃から、高山一実を割と推していた。なんとなく、人がよさそうだし。
そういうこともあり、小説『トラペジウム』も読んでいた。

ただ当時から「映画化はどうだろう??」と感じていた。
ひとつは、小説ならともかく実写映画化するには、リアルに演じる役者(=キャスティング)が苦労しそうだから。
そしてもうひとつは、「アイドル」というものに興味がないと、アイドルになり、そして苦悩を抱えるという人生に「感情移入」が出来ないから。

映画『トラペジウム』は、実写ではなくアニメーション映画である。
それで、鑑賞前にひとつ目の問題は、ある程度クリア出来ていたように感じていた。

しかしやはり、ふたつ目の主人公への「感情移入」という点が、疑問だった。
漫画『ガラスの仮面』、小説『チョコレートコスモス』(恩田陸 作)などは、モチーフとして「芝居(舞台)」という「重み」があり、天才女優とそのライバルという構図があれば、観る者の心に訴えかけるような「どろっとした」展開も可能だ。

しかし、なんせ「アイドル」という、(一般人感覚からすると)「カワイイ」だけが売りの職業に、観る者の心を揺さぶるような枷があり、感情移入が出来るのだろうか?そこがどうにも疑問であった。

そして、鑑賞後の感想としては…、6、70点くらいだったかなあ。
割と楽しくは観れた。
理由は、主人公の東ゆうの性格が、結構グロい(笑)。
考え方が自己中で、仲間のトラブルに対して、本気で嫌な顔をしたりする。それが、人間ぽくって、なんか面白かった。
しかし、やはりアイドル達の人物描写が、(ステレオタイプの悩みしか抱えてなくて)ちょっと薄かったのだ。
まあ、ちょっとこれだけだと、アイドルにさして興味のない男性(特にオジサン)にはつらいかなあ。

個人的には、東ゆうと、(一番枷がある)「北」の亀井美嘉の二人を軸に物語を構築して、もう少し尺を長くすることで、物語に深みを作った方が良かったんじゃないかと感じた。

でも、アニメだから観れましたよ。
そういう意味では、『推しの子』は心配だ…。