故 山田太一の小説が原作の作品
映画『異人たち』(監督:アンドリュー・ヘイ)を観てきた。
原作は山田太一の小説である。
ある程度年齢がいってる人にとって山田太一と言えば、『ふぞろいの林檎たち』、もっと古くは『岸辺のアルバム』など、数々の名作を世に送り出して来たテレビドラマの脚本家である。
この映画は、そんな脚本家の山田氏が上梓した小説『異人たちとの夏』がベースとなっている。
とはいえ私自身は小説の方は読んでおらず、大林宣彦監督により映画化された『異人たちとの夏』を観た口なので、映画『異人たち』が原作からどうアレンジされたかは、はっきり申し上げられない。
しかし、私含め、あの映画が好きで観に来た人にとっては、正直面食らう主人公の設定ではあった。(その設定の違いについては、ここでは述べない)
ただ、それは批判しているのではない。
なぜなら、間違いなく、とてもいい映画だったのだ。
そもそも「異人」というのは、(なぜその言葉を山田氏が用いたかは知らないが、)「幽霊」のことであるのは間違いない。
そして、この物語が展開される時期、つまり幽霊が「此の世」に現れている時期は夏であり、そこには多分に、お盆など日本の文化的・宗教的な背景が絡んでいることは間違いないと思う。
その意味においても、イギリスを舞台にする本作では、すべて原作を踏襲していては物語が破綻してしまうし、ある意味主人公の設定も、現代イギリスならではのものになっているのではないだろうか。
詳しいストーリーはこれ以上語らない。
このブログを読んだ人で、『異人たち』そして『異人たちとの夏』を観ていない人には、ぜひ両方観てほしい。
洋の東西を問わず、都会で、一人で暮らしていくことは寂しいものだ…。
主人公二人の悲哀は、涙せずにはいられない。
そして、フランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッドが好きな自分にとって、このラストシーンは泣けてくる…。