『正体』の横浜流星
すごく良かった。
私のイメージは、正直言って、演技派というよりアクション俳優というものだった。
テレビドラマ『DCU』などで見せていた、「全力疾走」が純粋にカッコいい役者というイメージだった。
物語としては…、
<ストーリー>
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。
確かにマンションの窓から飛び降りたり、走り逃亡したりするシーンもあった。
しかしそれよりも、逃亡しながら姿を変えてゆく鏑木(横浜流星)のキャラクター(性格や立ち振る舞い)の変化が素晴らしかった。
特に最初の工事現場で働く姿に、彼の役作りのすごさを見た気がした。
その後姿は、ガリガリで肩甲骨だけが浮かび上がってしまっている、あたかも『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを彷彿とさせるような異様な体型をしており、それはまさに逃亡犯そのもであった。
作品全体としても面白く観れた。
予告編だけ観ると、逃亡の途中であるにもかかわらず、映画的に無理やり沙耶香(吉岡里帆)との恋愛模様が入って来てしまうのかなと心配したが(笑)、そういうこともなかったのでよかった。
(むしろ、沙耶香のバックボーンがきちんと描かれているので、鏑木の逃亡を手伝ってしまう必然性もよくわかった)
山田孝之の刑事も良かったし、若い役者が多いにもかかわらず骨太の作品に仕上がっている。
藤井道人監督(『青春18×2 君へと続く道』『新聞記者』等)の演出力の賜物であろう。
監督、横浜流星ともに、次回作もとても楽しみな二人だ。