映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』
これは、映画というより『踊る』のおさらいなのか?
<ストーリー>
世界屈指の巨大都市(メトロポリス)・東京。
ある日、通称「225事案」と呼ばれる誘拐事件が発生する。
犯人は身代金の運び屋として、警視庁刑事部捜査第一課に着任した青島を指名。
要求に間に合わなければ街を爆破すると告げる。
さらに、3Dプリンター拳銃による連続殺人や、盗まれた毒性ウイルスを街にばらまくという脅迫も発生。
一方、捜査の優先順位をAIが判断し、逮捕状の請求すらAIにゆだねる警察組織の変貌も明らかになるが、青島は変わらぬ信念を胸に東京を駆け抜ける。
『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』を観ていて強く感じたのは、これは新しい『踊る』の物語であると同時に、過去の『踊る』シリーズのおさらいのような映画だということだ。
1997年のテレビドラマから始まり、数々のスペシャルドラマ、劇場版、スピンオフを経てきた『踊る』は、すでに一つの巨大な世界観を形成している。
しかも本作は、2012年の『THE FINAL』から14年ぶりに青島俊作が帰ってきた作品である。
制作側にとっては、これまでのファンを満足させるだけでなく、初めて『踊る』を観る新しい観客にも、この世界の歴史や人間関係を理解してもらう必要があったのだろう。
実際、公式にも過去シリーズのキャラクターたちが現在どのような立場にいるのかを描くことが明確に打ち出されている。
そのため、次から次へと懐かしい人物が登場する。
テレビシリーズから生まれたキャラクター、劇場版で登場したキャラクター、スピンオフ作品で活躍したキャラクターまで、それぞれが「今どうしているのか」を見せるように登場してくる。
そして、その一方で、今後の『踊る』を担うことになる新キャラクターたちも大量に投入される。
趣里、白洲迅、増田貴久らが演じる新メンバーは、その典型だ。
もちろん、シリーズを長く続けていくためには必要な作業なのだと思う。
過去のキャラクターを再登場させることでファンをつなぎ、新しいキャラクターを紹介することで次の世代へバトンを渡す。
監督自身も青島を「繋いでいく人」と表現している。
ただ、その結果として本作は、どうにも散文的になってしまった。
「あの人が出てきた」「この人は今こうなっている」「こんな新キャラクターもいます」と、エピソードや人物が次々と並べられていく。
その一つひとつは「踊る」ファンなら楽しめる。
しかし、それらを束ねる本筋の事件そのものが、相対的に薄く見えてしまうのだ。
つまり、本作は一つの映画として物語を完結させるというより、「これまでの『踊る』を確認し、これからの『踊る』を紹介する」ことにかなりの力を使っている。
映画を観ているというより、巨大なシリーズの人物相関図を更新しているような感覚さえある。
そして、その意図はラストでさらに明確になる。
過去作のラストには「THE LEGEND CONTINUES.――伝説は、これからも続いていく」という言葉があった。
それに対して今回は「ODORU LEGEND IS CONTINUED.」。つまり、「踊るの伝説は継続されている/継続される状態にある」というニュアンスに変わっている。
しかも、おそらく青島がすみれ(深津絵里)に連絡したであろうところで映画は終わる。
これは明らかに続編があり、そのときには『踊る』のレジェンドの一人である深津絵里にも出てもらいたい、あるいは出てもらう、という意思表示に見える。
正直、それが何年後になるのかわからない。
ただ、『キングダム』程度の間隔で次をやるなら、私はもう見ないだろう……。
そんな感じにさせる映画だった。
