連続ドラマW『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』

まず前提として、私は漫画原作を読んでいない。
ゆえに原作の持つ❝トーンやテイスト❞は理解していないということはお断りしておく。
したがって、以下の感想はあくまで実写映像作品としての連続ドラマW『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』を観た一視聴者の率直な受け止め方に過ぎない。

<ストーリー>
「ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編」は、明治末期の北海道を舞台に、莫大なアイヌの埋蔵金を巡る壮絶なサバイバルを描いた物語である。
「不死身の杉元」の異名を持つ元軍人・杉元佐一は、戦死した親友の願いを叶えるため、一攫千金を夢見て北海道へ渡る。
そこで彼は、網走監獄の死刑囚たちの体に彫られた「刺青」が、隠された金塊の場所を示す暗号になっているという噂を耳にする。
杉元は、金塊を奪った男に父を殺されたアイヌの少女アシㇼパと出会い、二人は互いの目的のために手を組んで刺青囚人たちの追跡を開始する。
しかし、金塊を狙うのは彼らだけではない。北海道の軍事支配を目論む第七師団の鶴見中尉や、かつて戦死したはずの新選組副長・土方歳三率いる一派も、それぞれの野望を抱いて刺青の争奪戦に名乗りを上げる。
こうして、刺青の地図を巡る三つ巴の命懸けの戦いが幕を開ける。 

結論から言えば、本作は非常に評価が難しい作品である。
物語の骨格自体は理解できる。アイヌの金塊を巡り、刺青囚人たちの皮膚に刻まれた暗号を追うという設定は、サスペンスとして十分に魅力的だし、登場人物の関係性も複雑で、本来であれば緊張感のあるドラマが成立するはずである。
しかし、その素材をどう料理するかという点で、本作は致命的な判断ミスを重ねているように思えた。

最大の問題は演出である。
とにかく演出の悪ふざけがひどすぎる。
緊迫した場面であるはずなのに、過剰なギャグ的表現や誇張されたリアクションが挿入され、物語への没入を著しく阻害する。
シリアスとコメディの振り幅が極端すぎて、視聴者は感情の置き場を見失ってしまうのだ。
これは原作由来の演出なのかもしれないが、少なくとも実写ドラマとしては整理不足であり、結果として全体のトーンが散漫になっている。

加えて、下品なセリフが多すぎるという点も看過できない。
笑いを取ろうとしている意図は理解できるが、その多くが安易で、キャラクターの魅力を高めるどころか品位を下げてしまっている。
暴力や性を絡めた表現も多く、それが物語上必然であるならまだしも、単なるノイズとして機能している場面が少なくない。
これでは、物語そのものの重厚さや歴史的背景への敬意が薄れてしまう。

役者陣の熱演や、北海道のロケーションを生かした映像美など、評価すべき点がないわけではない。
それだけに、演出と脚本の方向性が足を引っ張っている現状が残念でならない。
もっと抑制の効いた演出であれば、刺青囚人争奪戦という題材は、より骨太なドラマとして成立したはずだ。

私は、1にあたる映画『ゴールデンカムイ』も観に行ったし、そして、3にあたる映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』も観に行くつもりだった。
しかし『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』を観たがために、今はその意欲が薄れている。
それほど残念な作品だった。