映画『片思い世界』

映画『片思い世界』。面白い映画だった。
坂元裕二脚本、土井裕泰監督作品である。

<ストーリー>
美咲、優花、さくらの3人は、東京の片隅にある古びた一軒家で共同生活を送っている。
家族でも同級生でもない彼女たちは、他愛のない会話で日常を過ごし、それぞれ仕事や学校へ向かう。
そんな12年間強い絆で結ばれた彼女たちは、言えない片思いを抱えていた。

坂元裕二と言えば、先日もブログに書いた、映画『ファーストキス 1ST KISS』の脚本家である。
しかし私のイメージは、(今話題?の)大多亮プロデュースの名作テレビドラマ『東京ラブストーリー』の脚本家というイメージが強い。
そして土井裕泰もTBSの演出家であり、キムタクの『Beautiful Life』『GOOD LUCK!!』や、最近だと『逃げるは恥だが役に立つ』のイメージがあり、私的には、まさにテレビ出身のヒットメーカー同士の組み合わせによる映画という印象だった。

しかし作品は、おそらく双方の趣味的なものも強く反映されているのだと思うが、撮影も映画出身のカメラマンだし、音楽も鈴木慶一(ムーンライダーズ)だったり、およそゴールデンタイムのテレビドラマを中心に活動している人とは思えないスタッフィングになっている。

そしてそれは、作品のトーンにも強く反映されており、切なくて爽やかな、いい意味で「小さな良作」に仕上がっていると言える。

宣伝的にもあまり深くストーリーに踏み込んでいないので、私もここでははっきり書かないが、三姉妹の『海街diary』的なものを想像していると、ちょっと予想が外れるということだけは書いておく。

個人的には「そこは、勧善懲悪な話でなくてもいいのでは?」という部分、ある意味そこは「テレビ製作陣らしいなあ」と思う部分はあったが、まあそれはさておき、全体的にはファンタジックでもあり悲しくもある、いい作品だと感じた。

そして、主演の三人(広瀬すず、杉咲花、清原果耶)もすごく良かったが、横浜流星が良かった。
以前も、松村北斗の「ナイーブな青年」の芝居が良いと書いたが、横浜流星は「憂いのある、影のある役」はピカイチだと感じた。

おそらく、それほど大規模な公開はしていないと思うので、このブログを読んでくださっている方には、公開が終了しないうちに早く観ておいた方が良いと伝えておきたい作品である。