三谷幸喜『おい、太宰』劇場版

田中圭主演…。
まあ、それだけでも、色々難しい部分もあるんだろう…。

<ストーリー>
太宰治を敬愛する平凡な男・小室健作は、妻の美代子と出席した結婚披露宴の帰り道、偶然、太宰が心中未遂を起こした海辺に立ち寄る。
太宰ゆかりの地に興奮した健作は、海辺の暗い洞窟の奥へ進み、そこで太宰治と恋人のトミ子と出会う。
いつの間に過去にタイムスリップしていた健作はトミ子に一目ぼれをするが、史実では2人は間もなく無理心中を遂げる運命にある。
トミ子を助けたい健作は、心中を阻止しようと奔走するが……。

現在(2025年7月後半)は、映画館はほぼ大作映画しか上映していない。
『スーパーマン』『リロ&スティッチ』『F1/エフワン』など。
なぜなら、サイトのほぼ半分(?)は、『鬼滅』が占めているから。
(しかも、それでも尚『鬼滅』は高い稼働率を誇っている。)
おそらくこの映画も(、田中圭問題外にも)、この極めて小さな公開規模から察するに、そんな煽りを多少なりとも受けたのかもしれない。

「完全ワンシーンワンカット」の映画である。
まあ、文字通りの「完パケ(=完全パッケージ)」にこだわり、撮影にも編集にも時間をかけて来た私にとっては、「だから、何?」と言いたくなる部分もある。
でも、そんな舞台人、三谷幸喜のエゴを差し引いても、役者たちの芝居はすごいと思った。

特に、田中圭。ほぼ出突っ張りである。
もちろん、ちょっとフレームアウトする時間もあったが、それでもお水を飲む程度の時間しかなかっただろう。
一人芝居をする舞台役者という視線で見れば、動きも含めてセリフが全部入っているのも当然なのかもしれない。
しかし、これはあくまで映像作品である。
舞台と違ってセリフを噛めば、ずっと追いかけて撮っているカメラマン含め全ての撮影が止まり、また一から全てやり直しという世界だ。
そのプレッシャーたるや、すごかっただろう。

そして、私がさすがだなと思ったのは、「繋ぎ」の部分のアドリブだ。
多少ネタバレになってしまうが、この物語は、洞窟の先に過去の世界が広がるという設定になっている。
しかもワンカット芝居なので、その洞窟を通ってゆく部分も、映画としてのシーンになっているのだ。
そのタイムリープという仕掛けの部分をCGとかではなく、ただひたすらカメラが追って行くのだが、洞窟はそこそこ長いし暗いので、田中圭の芝居(台詞)で持たせるしかないのだ。
彼はその部分を、おそらくアドリブ含めた台詞で全て埋めており、しかもちょっとした言い回しや動きで、その間の心情の揺れ動きも表現していたのだ。
役者としての田中圭、素晴らしかった。

そういう意味で出来は素晴らしかった、と思う。
しかしとはいえ、三谷幸喜演出、松山ケンイチ、小池栄子共演など、ネームバリューには事欠かなかったこの作品の公開規模が、ここまで小さかったのは『鬼滅』のせいだけではないだろう。
「うーん、残念…」。


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