アマプラで『教皇選挙』を観た

ずっと観たかったが、劇場で観損ねてしまっていた映画『教皇選挙』がAmazonプライムに上がっていたので、早速観させていただいた。
評判通り面白かった。

<ストーリー>
全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派・カトリック教会。
その最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。
新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで極秘の投票がスタートする。
票が割れる中、水面下でさまざまな陰謀、差別、スキャンダルがうごめいていく。
選挙を執り仕切ることとなったローレンス枢機卿は、バチカンを震撼させるある秘密を知ることとなる。

「コンクラーベ」。それが、教皇選挙を表す言葉だということを理解している日本人もそれなりに多いと思う。
それ位、教皇選挙というものは「神聖」でありながら「ミステリアス」だ。
否、『ゴッドファーザーPART3』を始め、その描かれ方は「スキャンダラス」であり、バチカンの暗部として描かれることの方が多いだろう。

主人公の主席枢機卿ローレンス(レイフ・ファインズ)は、教皇の生前に枢機卿の辞任を申し出ており、新しい教皇になることなど考えていなかった。
しかし教皇選挙を執り仕切る重責を担う中で、各陣営のそのスキャンダラスな作戦と、よもやの現実を目の当たりにしながら、悩み揺れ動き、そしていつしかその大きな波に飲み込まれてゆく。

バチカンは政治だ。
「保守」の対局にあるのは「リベラル」であるかもしれないが、「保守」が「伝統」を守る思想なのであれば「悪」とは言い切れない。
「利他主義」の対義語は「利己主義」ではある。聖職者は「利他」的思想の持ち主でなければならない。
しかしバチカンという政治の場では、「利他」的に生きれば「利己主義」の横暴を許すことになりかねない。

私は、ローレンスが枢機卿を辞めることを拒否され、そして教皇から言われた言葉に胸が痛んだ。
「君はマネジメント側の人間だ」。
つまりは「主役ではない」のだ。
私も仕事において「プレイヤー」であり続けたいと思っていたし、「自らを立する」ことを望んでいた。
しかし、映画監督やデザイナー、いわゆるトップクリエイターという典型的「利己」主義者と仕事をする中で、いつしか「まとめる=マネジメントする」ことを強いられ、自分を押し殺すことで仕事が成立するという現実を受け入れざるを得なかった。
彼ほどではないにしろ、自分の辛かった時期をふと思い出してしまった。

「正義」とは何か?自分の思う正義を貫くためには、逆に「利己的」に生きなければならい。
そのアンビバレントな現実とどう折り合いをつけてゆくか、この映画は問いている。
そして、待ち受ける大どんでん返し。
ストーリーはもちろんのこと、ある種の「密室劇」でありながらスケールも大きい。
秀作であった。


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