アマプラで『シャイロックの子供たち』を観た

池井戸潤原作小説の映画化である。
阿部サダヲ、上戸彩、玉森裕太、佐藤隆太、柳葉敏郎、佐々木蔵之介等々、豪華キャストが集結した作品だ。

<ストーリー>
東京第一銀行・長原支店で現金紛失事件が発生した。
ベテランお客様係の西木雅博は、同じ支店に勤務する北川愛理、田端洋司とともに、事件の裏側を探っていく。
西木たちは事件に隠されたある事実にたどりつくが、それはメガバンクを揺るがす不祥事の始まりにすぎなかった。

私は、経済物というジャンルが好きだ。真山仁の『ハゲタカ』や、高杉良の『金融腐蝕列島』など小説も読みつつ、映画も観た作品は多い。

しかし、池井戸潤原作作品の映画はほとんどスルーしてしまう。テレビドラマだと観るのだが。
果たして、なぜなのか?
自問すると…。

池井戸作品は、銀行員の「リアル」を感じる。
おそらく、元銀行員出身である池井戸潤だからこそのストーリーで、そのリアルさが受けているのだろう。
ただ、その分、大衆的なのだ。

私が映画に求めるのは、「非日常」であり、そのフィクションの中にある「リアリティ」=「本物っぽさ」である。
だから経済物とか社会派映画には、やはりハードさが欲しいし、ミステリーやサスペンス色が欲しいのだ。
そこの部分が乏しい池井戸作品は、私の琴線に触れないのだろう。

この作品も、そういう意味で「リアル」な人間ドラマと言える。
おそらく、こういう“やらかし”をする銀行員も実際にいるのだろう。
ただ私は、そこから引き起こされる「ハードな展開」が欲しくなってしまう。それが池井戸映画にはないのだ。
(だから『地面師たち』は面白い)

もちろん、悪い映画とは思わない。
しかし、次に池井戸作品の銀行物を映画化する監督は、もう少しオリジナルなハードさを入れてもらえるとありがたい。