映画『火喰い鳥を喰う』を観た

私はホラー映画がそれほど好きではない。
それが前提としてのブログである。

<ストーリー>
信州のとある村に暮らす久喜雄司と夕里子の夫婦のもとに、謎めいた日記が届く。
それは雄司の祖父の兄で、太平洋戦争末期に戦死したとされる久喜貞市の遺品だった。
日記には異様なほどの生への執着が記され、最後のページには「ヒクイドリ、クイタイ」という文字がつづられていた。
その日を境に、墓石の損壊や祖父の失踪など、雄司と夕里子のまわりで不可解な出来事が起こり始める。
2人は夕里子の大学時代の先輩で、怪異現象に造詣が深い北斗総一郎に、不可解な現象の解明を依頼する。
しかし、存在しないはずの過去が現実を侵食していき、彼らはやがて驚愕の真相にたどり着くが……。

突然だが、「ミステリー」と「サスペンス」の違いとは何だろうか?
一般的に言われているのが、「ミステリー」は、「謎や事件の解明、推理をテーマとしている」もので、「サスペンス」は、「物語の中の危機感によって、読者や観客に不安感や緊張感を与えることを目的としているもの」と言われている。
私の中でも、ミステリー作品と言えば、アガサ・クリスティの一連の作品のように、最終的に謎が解けて「なるほど!」と思わせてくれる、ある種のカタルシスを得られるものをそう呼んでいる。

しかしてこの作品はどうだろうか?
公式サイトには「ミステリー」と謳っている。
しかし、私の鑑賞後感は、それとは程遠い「もやもや感」が残ったままの作品であった。

具体的には、ネタバレになるからあまり書かないが…、
・そもそも「火喰い鳥」とは何なのか?作中の世界線で実在するのか?それとも何かの暗喩的なものなのか?
・すべては北斗(宮舘涼太)の仕組んだものなのか?それとも「怨霊」的なものなのか?
・もし、北斗の仕組んだものでないなら、エンディングの世界線は一体どういう意味なのか?
正直、よくわからない未消化のまま終わっているので、カタルシスが得られない。

私の中では、この作品はスプラッター的な要素こそ少ないが、ホラー映画と捉えることにした。(まあ、サスペンス映画と捉えてもいいのかもしれないが…)
であれば、妙に観念的で、わかりづらいストーリーにも合点がいく。

冒頭に書いたようにホラー映画は好きではない。
だから、そういう人がこの作品を気に入らなくても仕方ない。
と言うより、そう自分の心の中で落とし込まなければ、納得がいかないというのが本音ではあるが…。
まあ、「なんだこれ?」「お金出して損した…」とはもちろん思っている。