映画『キャンドルスティック』を観た

「キャンドルスティック」とは、価格チャートにおいて、始値と終値を四角形、それに加えて高値と安値をその四角形から垂直な直線で表したもの。
<ストーリー>
刑務所を出所した元天才ハッカー・野原は自分と同じく数字に色がついて見える“共感覚”を持つ女性・杏子と出会い、恋に落ちる。
台湾の野心的な企業家、リンネはFX市場を利用し一儲けするため、野原とかつての仲間たちに声をかける。
その作戦は金融取引の番人、「AIを騙す」こと。
決行日は元号が変わり、金融機関のシステムが一番油断して混乱する、円が最も隙だらけの日-2019年5月7日。
一方、川崎工業地帯では難民・移民の子のための「夜光ハウス」が立ち退き寸前の危機に陥っていた。
施設を守るファラーとイランのハッカー・アバンは返済のためのある計画を練る。
これはねじれた偶然か?2つの計画の日時は奇しくも一致していたのだ。
実は旧知の方が、作品に大きく関わっている。
なので、あまり批判的なことは書きたくないが…。
観る前は、題材として面白そうだと思った。
個人的にも経済物は好きだし、このジャンルはハリウッド作品にも対抗出来得る題材だし、元号が変わる瞬間、円が最も隙だらけの日を突くという発想も、面白そうだった。
でもなんか脚本が練れてなかったんだよなあ…。
企画がいいのに、脚本が…、「惜しい」作品の典型的パターンだった。
そもそも(、原作物だからかもしれないけど)、キャラクターが多すぎる。
これで、93分は無理がある。
せめてあと20分増やして、それぞれのキャラクターと、その相関関係を深く掘ってほしかった。
観た人ならわかるかと思うが、菜々緒(杏子)が準主役なのだが、前夫との関係も、なぜ「数字が光って見える」のか?もあっさりしているから、ストーリーに深みが出ない。
キーマンであるリンネ(アリッサ・チア)と野原(阿部寛)の関係性も脚本で見えてこないから、そこまでの関係性に発展する理由がよくわからない。
ちょっと失礼な言い方をすれば、テレビエディット(編成)用にダイジェスト作品を作ってしまったような作品であった。
これ以上書くと批判が強くなりすぎるので、関係ないことを書くとする。
阿部寛が「菜々緒の恋人役なのが嬉しかった」とインタビューで答えていた。
還暦の男として、至極まっとうな感覚だと思った。
ここのところ、元ジャニーズアイドルの不祥事や問題行動が多い。
元アイドルという職業で、現在も(ファンや取り巻きに)チヤホヤされる立場だと、自分がオジサン(否、爺さん)だと自覚しずらいのだろう。
「自分の父親程年齢の離れた人に恋愛感情はなく…」、なんて言われるちゃうのは、やっぱり恥ずかしいぜ。