映画『SAKAMOTO DAYS』

なんか、福田監督、めめファンと揉めてるね…。

<ストーリー>
かつて「史上最強」と恐れられた殺し屋・坂本太郎は、コンビニで働く女性・葵に一目ぼれして恋に落ち、殺し屋をあっさりと引退する。
結婚と娘の誕生を経て個人商店「坂本商店」の店長となった彼は、家族との幸せな日々を送るなかで、かつての面影がないほどに太っていた。
そんなある日、坂本に突如として10億円の懸賞金がかけられ、世界中から刺客が襲いかかってくる。
坂本はかつての部下であるエスパー能力者シンを相棒に、平和な日常を守るべく立ち上がる。

目黒蓮の作品は好きだ。
アイドルとして人気が高いのはもちろん知っているが、俳優として彼を強く意識したのは『教場Ⅱ』だった。
あの作品で彼が演じた杣利希斗は、ただの好青年ではない。
繊細で、弱さを抱え、しかしどこか真面目すぎる青年だった。
木村拓哉演じる風間教官の冷徹さの前で、精神的に追い込まれていく姿には妙なリアリティがあり、「この人は感情の崩れ方を演じるのが上手い俳優だな」と思った記憶がある。

さらに『月の満ち欠け』でも良かった。
あの映画はかなり感情を内面化した芝居が必要な作品だったが、目黒蓮は決して大げさに演じない。
静かな視線や、わずかな間で感情を表現するタイプだ。
だからこそ、切なさが残る。どこか“不器用な男”を演じさせると実にハマる俳優なのである。

『ほどなく、お別れです』でも、その資質はよく出ていた。
優しく、誠実で、しかし自分の感情をうまく表に出せない。いわゆるナイーブな男性像だ。
最近の若手俳優は勢い重視で押し切るタイプも多いが、目黒蓮はどちらかと言えば「陰」を演じられる俳優だと思う。
だから女性人気だけではなく、映画ファンにも一定の支持を受けているのだろう。

そんな彼が『SAKAMOTO DAYS』に出演すると聞いた時、正直かなり驚いた。
原作自体は人気漫画だし、映像化されるのも当然だとは思う。
ただ、目黒蓮の持ち味と、この作品世界が噛み合うのか?という疑問が最初に浮かんだ。

そして、その不安はかなり当たってしまった。

福田雄一監督には辟易している。
もちろん、ヒットメーカーであることは否定しない。
『銀魂』以降、日本の漫画実写化において独特のポジションを築いた監督だと思う。
しかし、近年は完全にワンパターン化している。
突然始まる悪ふざけのような掛け合い。妙に長いツッコミ。シリアスな場面で急に挟まるコント調の演出。
そして、役者同士が半笑いで会話しているように見える、アドリブなのか脚本なのか分からない芝居。
正直、もうかなり食傷気味である。

『SAKAMOTO DAYS』でも、その癖は全開だった。
原作が持つスタイリッシュな殺し屋アクションよりも、「ふざけ」を優先している印象が強い。
もちろん笑える場面もある。
しかし、それが延々続くと緩急が消えてしまう。
結果として、作品全体が学園祭の内輪ノリみたいに見えてしまう瞬間があるのだ。

しかも、目黒蓮の魅力とも噛み合っていない。
彼は本来、静かな感情の揺れを見せる俳優である。
ところが福田演出では、役者が全員“福田組の空気”に染められてしまう。
結果、誰が演じても似たテンションになる。
これでは、せっかくの俳優としての個性が死んでしまう。

アクションも悪くはない。予算もかかっているのだろう。
テンポも速いし、一般層が気軽に観る娯楽作として成立しているのは理解できる。
実際、興行的にも成功しているようだ。
ただ、自分としては「もっと違う目黒蓮が見たかった」という気持ちが最後まで消えなかった。

目黒蓮が演る意味あったのか?
まあ、ヒットしてるようだし、プロデューサー陣は問題ないのだろう。
ただ、山﨑賢人の『アンダーニンジャ』でも思ったが、目黒連のキャリアとして必要だったのか?
疑問は残った…。