映画『ファンタステック4 ファースト・ステップ』
マーベル、DC。そんなに観るわけではいないが、エンタメとして楽しめるものも多い。
ただ、この作品は…正直なところ、かなり厳しい出来だと感じた。
<ストーリー>
宇宙ミッションのさなかに起きた事故で特殊能力を得た4人は、その力と正義感で人々を救うヒーローチーム「ファンタスティック4」として活躍している。
チームリーダーで天才科学者のリード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティックは、ゴムのように自在に伸縮する体を操り、妻スー・ストーム/インビジブル・ウーマンは、透明化や目に見えないエネルギーシールドを使いこなすチームの精神的支柱。
スーの弟ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチは、炎を操り高速で空を駆け抜ける陽気なムードメーカーで、リードの親友ベン・グリム/ザ・シングは、岩のように強固な身体と怪力を持つが、内面に葛藤を抱えた心優しい人物だ。
世界中で愛され、固い絆で結ばれた彼らは、スーの妊娠という知らせを受けて、喜びに包まれる。
しかし、リードのある行動がきっかけで、惑星を食い尽くす規格外の敵、宇宙神ギャラクタスの脅威が地球に迫る。
滅亡へのカウントダウンが始まる中、ヒーローである前にひとりの人間として葛藤を抱える4人は、世界を守るために立ち上がる。
ヒーロー映画というジャンルは、もはや世界的な定番エンターテインメントになっている。
多少ストーリーが単純でも、キャラクターの魅力や圧倒的な映像、痛快なアクションがあれば、観客は十分に楽しめる。
しかし、この映画にはそのどれもが決定的に欠けているように思えた。
まず感じたのは、ヒーローとしてのキャラクターの弱さだ。
四人のチームが主役なのだが、それぞれの人物像が驚くほど薄い。
能力の説明や背景はあるのだが、それがドラマとして十分に描かれているとは言い難い。
観客が感情移入する前に物語が進んでしまうため、「なぜ彼らがヒーローとして戦うのか」という根本的な部分が希薄に感じられる。
ヒーロー映画では、能力そのものよりも「その力をどう背負うのか」という葛藤が重要だが、この作品ではそこがほとんど見えてこない。
(まあ、「前作やアメコミを見ていないものが悪い」と言われればそうなのかもしれないが…)
さらに問題なのは、アクション映画としての弱さだ。
近年のヒーロー映画は、CGや演出の進化によって視覚的なスペクタクルを提供することが当たり前になっている。
巨大なスケールの戦闘、スピード感のあるカメラワーク、観客を圧倒する映像表現。
そうしたものがこのジャンルの魅力のはずだ。
しかしこの作品のアクションは、どうにも迫力に欠ける。
能力を使った戦闘シーンも、どこか平板で、驚きや爽快感があまりない。
映像的な工夫が少なく、既視感のあるカットの連続で、観ていて高揚感が生まれないのだ。
また、チームものとしての面白さも十分に発揮されていない。
四人の能力が組み合わさることで生まれる連携や戦略、あるいはメンバー同士の衝突や成長といったドラマがあれば、物語はもっと厚みを持ったはずだ。
しかし実際には、それぞれがバラバラに能力を使っている印象が強く、チームとしての魅力がほとんど感じられない。
結果として、ヒーロー映画としても、SFアクションとしても、どこか中途半端な印象が残ってしまう。
そもそも「ファンタスティック4」という題材自体は、いくらでも面白く料理できるポテンシャルがあるはずだ。
異なる能力を持つ四人がチームとして戦うという設定は、ドラマ的にもアクション的にも広がりがある。
しかしこの作品では、その可能性をほとんど活かしきれていないように感じた。
実はこの作品、海外に行った折、機内上映で観たのだ。
映画館で観る作品ではないと思うし、木戸銭払う気にはなれない作品だったので、機内上映で観てよかったというのが本音だ。
正直なところ、時間つぶしとしては成立していたが、それ以上の価値を見出すのはなかなか難しい映画だった。
